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財務設計

405事業とは?リスケを続ける経営改善計画と活性化協議会の使い方

「リスケを続けるなら、ちゃんとした計画がほしい」と言われたら

取引金融機関との面談で、返済猶予(リスケジュール=返済条件の変更)を続けたいなら、ちゃんとした計画がほしい。そう伝えられて、社長の手が止まる。返済を止めてもらっている以上、いつまでも口頭の説明で押し通せるわけではありません。かといって、資金繰りと現場を回しながら、金融機関が納得する計画を社内だけで組み立てる時間はどこにもない。

この場面で使えるのが、中小企業活性化協議会の支援制度です。なかでも通称「405事業」と呼ばれる経営改善計画策定支援は、外部の専門家と一緒に計画をつくる費用の3分の2を上限に、協議会が負担します。ただし、入口は405事業だけではなく3つあり、どれを選ぶかで費用も手続きもまったく変わります。しかも2026年5月1日の改訂で、405事業には新しい関門が加わりました。

405事業から入るとは限りません。協議会の支援は全部で5つあり、そのうち協議会自身が行う収益力改善支援は原則無料です。何が問題なのかを整理する段階なら、専門家費用のかかる405事業へいきなり進む必要はありません。そして405事業を選ぶなら、見積を取る前に3つの関門を確かめてください。2026年5月1日に新設された数値基準、金融支援が条件変更等に限られること、そして原則として二度は使えないことです。

この記事は、中小企業庁の手引きとマニュアル・FAQ(2026年5月1日改訂版)、および早期経営改善計画策定支援の手引き(2026年3月31日改訂版)にもとづいて整理しています。

この記事でわかること

  • 中小企業活性化協議会の5つの支援と、405事業を選ぶ条件
  • 2026年5月に新設された「数値基準」と、これを外すとどうなるか
  • 費用の上限が2つあること(会社の規模で負担してもらえる額が変わる)
  • 同意・複数回利用・伴走支援など、実務でつまずきやすい条件

405事業とは?正式名称は「経営改善計画策定支援事業」

405事業とは、中小企業庁の経営改善計画策定支援事業のうち、経営改善計画策定支援(通常枠・中小版GL枠)を指す通称です。財務上の問題を抱えていて、自力では計画を作ることが難しく、しかし金融機関からの支援(条件変更)が見込める中小企業・小規模事業者が対象になります。

仕組みはシンプルです。中小企業等経営強化法にもとづいて認定された「認定経営革新等支援機関」(税理士、公認会計士、中小企業診断士、弁護士、金融機関、商工会・商工会議所など)と連名で、地域の中小企業活性化協議会へ利用申請します。協議会が費用負担を適切と判断すれば、計画づくりにかかった専門家費用の3分の2を、上限の範囲で協議会が支払ってくれる。会社の持ち出しは残りの3分の1です。

検索では通称の「405事業」が圧倒的に多く使われていますが、協議会の窓口や申請書類は正式名称で動いています。相談の場では「経営改善計画策定支援事業を利用したい」と伝えたほうが早く進みます。

窓口となる中小企業活性化協議会は、すべての都道府県に設置された公的機関です。2022年4月、再生支援協議会と経営改善支援センターの機能が一体化される形で発足しました。窓口相談は無料、秘密厳守、事前予約制です。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き中小企業活性化協議会

協議会の支援は5つある。「まず405」ではありません

協議会の支援は、405事業だけではありません。中小企業庁は協議会の支援を5つのソリューションとして示しています。収益力改善フェーズに収益力改善支援と早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)、再生フェーズにプレ再生支援・再生支援と経営改善計画策定支援(405事業)、そして再チャレンジ支援です。このうち、計画をつくって金融機関に示す場面で最初に検討することになるのが次の3つで、誰が支援するのか、費用がいくらかかるのかが根本的に違います。残る2つは協議会自身が前に出る支援です。

収益力改善支援 早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業) 経営改善計画策定支援(405事業)
支援するのは誰か 協議会自身 認定経営革新等支援機関 認定経営革新等支援機関
対象 収益力低下・借入増加のおそれがある中小企業 資金繰り管理や採算管理など基本的な内容の経営改善が必要な事業者 財務上の問題を抱え、金融機関からの支援(条件変更)が見込める事業者
費用 原則無料 3分の2を協議会が負担 3分の2を協議会が負担
金融支援 伴う場合あり 計画に含められない 必須(条件変更)
計画期間 1〜3年(金融支援を伴う場合は1年。ただし現行の実施要領では災害等に限られ、この扱いは2026年10月1日に廃止予定) 数値基準を満たす期間(最低3年)

この表で最も見落とされているのが、左端の列です。協議会自身が行う収益力改善支援は、原則として費用がかかりません。何が問題なのかを整理する段階なら、まずここから相談するという選択肢があります。専門家費用の3分の1を自社で負担する405事業に、いきなり進む必要はないのです。

早期と405の分かれ目は、おおまかには返済条件を変えるかどうかにあります。早期は返済条件の変更が必要になる前の段階を、405は「返済条件を変更等し資金繰りを安定させながら」改善を支援する制度、という位置づけです。ただしこの一点だけで進む先が決まるわけではありません。405事業には、このあと説明する数値基準・金融支援の定義・複数回利用の制限という別軸の関門があります。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)収益力改善支援中小企業活性化協議会実施基本要領 別冊1 収益力改善支援実施要領(2026年3月31日改正)早期経営改善計画策定支援に関する手引き

2026年5月に加わった「数値基準」を満たさない計画は対象外

405事業の通常枠には、2026年5月1日の改訂(マニュアル・FAQ Ver.9.1)で数値基準が新設されました。計画によって金融機関から条件変更等の金融支援を得ることに加えて、次の3つを計画の内容に含むことが求められます。

通常枠の計画が満たすべき数値基準(2026年5月1日新設)

  • 実質的な債務超過
    計画の成立後、最初に到来する事業年度の開始日から5年以内を目処に解消する内容か
  • 経常利益の赤字
    同じ起算日から概ね3年以内を目処に黒字へ転換する内容か
  • 有利子負債
    計画の終了年度(原則として実質的な債務超過を解消する年度)で、対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下となる内容か

起算点は、計画が成立した日を含む事業年度を「計画0期」、翌事業年度を「計画1期」と数えます。債務超過の解消期限は、計画1期の開始日から5年以内ということです。

ここで重要なのは、これが努力目標ではないという点です。マニュアル・FAQは「数値基準を満たさない計画」を、事業の対象とならない計画として明記しています。計画を作り込んでから外していたと分かると、その労力が費用負担の対象から丸ごと外れかねません。

例外がないわけではありません。業種特性や固有の事情等に応じた合理的な理由がある場合は、認定支援機関と主要金融機関が合理的な根拠を記載した書面を提出して協議会の確認を受けること、基準を満たす事業年度まで計画期間と伴走支援を続けて年2回以上報告すること、履行困難時の出口の方向性を計画に記載して主要金融機関と他の債権者の同意を得ること——この3つを満たす必要があります。

小規模企業者には、もう一本の道があります。マニュアル・FAQは、小規模企業者が計画を作る場合について、「計画期間終了後の業況が良好で財務内容にも特段の問題がない状態等となる計画」または「再生計画成立後2事業年度目(計画成立年度を含まない)から3事業年度継続して営業キャッシュフローがプラスになること」のいずれかと、「事業継続が経営者等の生活の確保において有益であること」を満たし、理由を記載した書面の提出と協議会の確認、出口の方向性の記載と主要金融機関・他の債権者の同意を行えば、数値基準の①〜③を計画に含めずに策定できると定めています。基準を満たせないと分かった時点であきらめず、この特例に当たらないかを協議会に確認してください。

⚠️ ここでいう小規模企業者は中小企業基本法第2条第5項の定義で、このあと説明する費用の区分の「小規模」(売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満)とは別の基準です。取り違えないでください。なお例外・特例によって計画期間が3年を超える場合は、伴走支援期間も計画期間と同じ長さになり、計画4年目以降は主要金融機関が伴走支援を行います。この場合、主要金融機関には利用申請書へ連名してもらう必要があります。確認書面では足りません。補助の対象になるのは計画3期までの伴走支援費用で、金融機関が行う計画策定支援と伴走支援は対象外です。

なお数値基準が2026年5月1日に新設されたのは通常枠です。中小版GL枠は従来から「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の第三部が定める計画の内容と数値基準に従うため、今回の改訂の影響を受けません。数値基準が無いという意味ではありませんので、「405事業がすべて変わった」とも「GL枠には基準が無い」とも受け取らないでください。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)

金融支援は「条件変更」。借換えも新規融資も含まれません

405事業でいう金融支援は、返済条件の変更・金利の減免・利息の支払猶予・元金の支払猶予といった条件変更等を指します。条件変更とは、債権の同一性を保ったまま契約の内容を変えることです。マニュアル・FAQは、経営改善・事業再生に必要な融資行為(借換融資、新規融資)は金融支援に含まれないと明記しています。「新しくお金を借りるための計画」として405事業を使おうとすると、この入口で外れます。

条件変更と融資が混ざる計画には、割合の要件があります。一部の債務について条件変更を受け、別途借換融資や新規融資も含む計画の場合、計画実行時に条件変更を受けた債務が、借換融資・新規融資を含む全債務のうち50%以上となることが対象の条件です。

マニュアル・FAQの計算例では、既存借入50百万円のうち30百万円を条件変更し、あわせて新規融資を10百万円受けるケースが挙げられています。借入総額60百万円に対して条件変更が30百万円で、割合はちょうど50%。対象になります。逆にいえば、条件変更が少なく新規融資が大きい計画は、割合を割り込んで対象外になり得るということです。

書き方にも条件があります。「資金繰りが逼迫した場合には返済を1年間据置きする」のように、見込みや仮定の形でしか書かれていない計画は対象になりません。どの借入を、いつから、どういう条件に変えるのか——具体的かつ確定的に定める必要があります。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)

この記事の内容を、社内で共有できる資料にまとめています。

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費用の上限は2つある。制度の天井と、規模ごとの目安

費用の話に進みます。上限は2段構えで、枠ごとの上限と、会社の規模に応じた上限の両方がかかります。まず枠ごとの上限です。

費目 早期経営改善計画策定支援 405 通常枠 405 中小版GL枠
計画策定支援 上限50万円 上限200万円 上限300万円
デューデリジェンス費用 なし 計画策定支援に含む 上限300万円
伴走支援 上限30万円 上限100万円 上限100万円
金融機関交渉(任意・加算) 上限10万円 上限10万円 手引きに記載なし
事業承継先探索に伴う企業概要書作成(任意・加算) 上限10万円 記載なし 記載なし

読み取っていただきたい点が2つあります。ひとつは、金融機関交渉と企業概要書作成の費用が「加算できる」=外枠として上乗せされること。もうひとつは、金融機関交渉の費用には限定が2つかかっていることです。手引きの原文は「金融機関交渉(会社と経営者の資産の区分など経営者保証の解除に向けて取り組む場合であって、金融機関との交渉に弁護士等(認定経営革新等支援機関に限る。)を活用する場合に限る。)」です。目的が経営者保証の解除であること、担い手が認定支援機関である弁護士等であること——リスケの条件交渉そのものを代行してもらう費用ではありません。

次に、会社の規模による上限です。マニュアル・FAQは事業規模ごとに「費用の総額の目安」と「費用負担の上限金額」を定めています。

区分 事業規模 総額の目安(伴走支援を含む) 協議会の費用負担の上限(総額の3分の2以内)
小規模 売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満 150万円以下 合計100万円以下
中規模 売上10億円未満かつ有利子負債10億円未満(小規模を除く) 300万円以下 合計200万円以下
中堅規模 売上10億円以上または有利子負債10億円以上 450万円以下 合計300万円以下・うち計画策定支援は200万円以下

ここが最も誤解を生む箇所です。よく見かける「405事業は上限300万円」という説明は、制度上の天井を指しています。マニュアル・FAQは「3分の2以内(ただし上限300万円)」と定め、その内訳を計画策定支援200万円・伴走支援(計画3期目まで)100万円としています。そのうえで、実際に負担してもらえる額は上の表の目安でさらに絞られ、売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満の会社なら合計100万円以下が原則です。専門家に300万円の見積を取ってきても、その3分の2が出るわけではありません。

ただし、この表は「あくまでも総額の目安」だとマニュアル・FAQ自身が書いています。小規模・中規模の会社でも、グループ会社に係る費用が発生するなど総額が目安を超える場合は、利用申請書の「10.その他記載すべき事項」欄にその旨と理由を記載すれば、区分に関わらず総額の目安の3分の2まで負担してもらえます。逆に上限額は補助の上限であって、支援機関との契約金額に上限を設けるものではありません。契約が500万円なら補助は200万円が上限で、残る300万円が会社の負担になる、という設例が置かれています。

なお、伴走支援の費用は総額の2分の1以内が目安とされていますが、この「2分の1」の母数は総額の目安(150万円・300万円・450万円)であって、費用負担の上限額ではありません。またこれはあくまで目安で、マニュアル・FAQは「案件によっては、総額が数十万円程度となる場合もあります」とも書いています。上限額まで申請しなければならない制度ではない、ということです。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)早期経営改善計画策定支援に関する手引き

申請から伴走支援までの流れと、順番でつまずく場所

手続きの全体像は次のとおりです。順番に意味があり、飛ばすと後戻りが発生します。

405事業(通常枠)の手続きの流れ

利用申請認定支援機関と連名で協議会へ
審査・助言協議会が費用負担の妥当性を確認
委嘱の通知支援機関が承諾書を提出
計画の策定資金繰表・計数計画・金融支援の依頼内容まで
計画案を協議会へ金融機関に提出する前に
同意書の取得金融機関から書面で
費用の支払申請同意を得たあとに
伴走支援最初の決算時から3年間

① 時間が読めないのは「主要金融機関の確認書面」

利用申請は、会社と認定支援機関の連名で協議会へ提出します。添付書類のうち時間が読めないのが、利用申請書に主要金融機関の連名がない場合に必要となる確認書面です。金融機関の担当者に趣旨を説明し、支店内の手続きを経て書面を出してもらう必要があります。申請時に提出できない場合は原則として申請から1か月以内の提出が求められ、期限までに出せないと事業は終了します(再度の申請は可能です)。申請の前に、メイン行へ「405事業を使いたい」と口頭で通しておくことが、遅れを防ぐ最短の手です。

計画に盛り込む中身は、ビジネスモデル俯瞰図・経営課題と基本方針・アクションプラン・資金繰表などの計数計画・金融支援の依頼内容と、決算書の延長では足りない範囲に及びます。手引きはローカルベンチマークの活用も推奨しています。ローカルベンチマーク(ロカベン)の見方と使い方は別の記事で解説していますので、計画づくりの前段として目を通しておくと、協議会や金融機関とのやり取りが早く進みます。

② 計画案は、金融機関に出す前に協議会へ

見落とされやすいのがこの順番です。経営改善計画案を策定したときは、金融機関に提出する「前に」協議会へ計画案を提出することとされています(中小版GL枠を除く)。金融機関に先に見せると、協議会の確認を経ないまま話が進み、修正がきかなくなります。協議会はここで計画案への助言に加えて、他の支援策へ移ったほうがよい場合にはその助言も行います。協議会が口を出してくる場面ではなく、金融機関に出す前に第三者の目を通せる機会だと考えてください。計画を作っている途中でも進捗の確認と助言を受けられますので、行き詰まったら出来上がりを待たずに相談できます。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き

同意は「範囲を絞れる」が、絞った範囲の全行から必要

金融機関の同意は、書面で得ます。ここは制度の説明でもいちばん誤解が生まれるところで、二段構えになっていると理解すると整理できます。

一段目は「どの金融機関から取るか」。手引きは通常枠について、「同意を必要とする金融機関も、全ての金融機関の同意ではなく、申請者の経営改善の実施に必要な範囲で足りる」と定めています。取引のある金融機関を1行残らず説得しなければ進まない制度ではありません。

二段目は「その範囲に入った金融機関からは、全員分が要る」。マニュアル・FAQは「原則として、全ての金融機関から同意書の取得を必要とします」とし、同意書の提出対象外にできるのは「一括返済等を行っても計画に支障をきたさない少額債権」に限ると明記しています。範囲は絞れても、絞った範囲の中に漏れがあってはいけないということです。

ここでいう「全ての金融機関」には、銀行・信金・信組・労金・農協・漁協・政府系金融機関に加えて、貸付業務を行う独立行政法人や貸金業者も含まれます(これらについては、一括返済する場合と、他の全債権者の合意のもとで既存借入の返済条件を維持する場合の2つに限り、同意書の徴求を省略できます)。また信用保証協会の保証付き融資がある場合は、取引金融機関と信用保証協会のそれぞれから同意書が必要で、これは1行取引でも変わりません。保証付き融資の比率が高い会社ほど、ここを最初に確認してください。

1行取引については、同意書の枚数より前に、利用できるかどうかの分かれ目があります。1行取引でも信用保証協会の保証付き借入があれば、保証債務の履行の前後にかかわらず使えます。一方で、利用申請の時点で保証付き借入が無くプロパー融資だけの1行取引は、そもそも対象になりません。金融機関どうしの調整が要らないから、というのが理由です。

同意書に代えて「同意確認書」を使えるのは、金融支援の内容がリスケジュールである場合に限られます。なお、計画に盛り込む金融支援が融資行為となる場合は、これらとは別に「金融支援に係る確認書」が要ります。

場面 同意意思の確認方法
原則 計画の実行に必要な全ての金融機関から同意書
リスケ・バンクミーティングまたは経営サポート会議で確認する 同意確認書A(会社と認定支援機関の署名)
リスケ・持ち回りで確認、条件変更を予定している金融機関 同意書(通常どおり)
リスケ・持ち回りで確認、金融支援を予定しない金融機関 同意確認書B
DDS等を伴う場合 原則どおり全ての金融機関から同意書(同意確認書は使えない)

一括弁済しても計画の遂行に支障が出ない金融機関を外す場合も、他の全ての金融機関が除外を承諾していることが条件です。除外するにも全行の承諾が要る、ということです。

書き方にも注意点があります。同意書に条件を書き添えて「その条件を満たす場合には同意する」とした場合、同意を得たとは言えない扱いになります。金融機関側が慎重になって条件付きの文言を入れたがることはありますが、それでは支払申請が通りません。また、利用申請の時点では信用保証協会の確認書面は不要ですが、支払申請の時点では信用保証協会が発出する同意書が必要です。順序を取り違えると、最後の段階で書類が足りなくなります。

では同意が得られなかったらどうなるのか。手引きには、協議会が費用負担を適切と認める場合などに総費用の3分の2を上限として支払う救済規定があります。ただし手引きは続けて「上記の『費用負担することが適切であると認められる場合』は、破産等限られたケースしか想定されない」と書いています。マニュアル・FAQは、この「限られたケース」が法的整理に移行した場合のみに限定されるのかという問いに「そのとおりです」と答えています。破産手続や民事再生手続の開始決定が行われ、金融機関に提出済みの計画書案などの成果物と従事日誌等が確認できれば、会社の費用負担が無くても支払は可能です。逆にいえば、それ以外で同意が得られなかった場合は、費用負担も受けられません。何度調整しても同意を得られない場合は、改めて協議会に相談し、再生支援等の活用を検討する——という道筋がマニュアル・FAQに示されています。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き

制度の当てはめから社内への落とし込みまで、右腕として伴走します。

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期限と、計画のあとに続く3年間

405事業は「計画を作って終わり」の制度ではありません。期限と義務が、計画の前後に張りついています。

405事業(通常枠)の期限と伴走支援

1利用申請受理日から2年が有効期限(早期は1年)
2計画の成立この日を含む事業年度が「計画0期」
3最初の決算ここから伴走支援の3年が始まる
4期中の報告決算期と中間決算期に年最低2回
53年後伴走支援の期間が満了

伴走支援は、会社の責めに帰すべき事由(倒産等)がない限り、計画策定後最初の決算時から3年間の実施が必須です。伴走支援費用の支払申請をしない場合でも、実施義務は変わりません。起算点は計画の成立、つまり同意書がそろった時点です。そこから最初の中間決算期(6か月)または決算期(12か月)に伴走支援を始めます。決算まで何もしなくてよい、という意味ではありません。逆に、同意書がそろう前に金融機関へ状況報告をしても、それは補助の対象になりません。

期中の報告は、特段の事情がない限り、決算期を含めて年最低2回が必須です。決算期と中間決算期に伴走支援報告書などを協議会へ提出して報告します。金融機関にとっては、この定期的な報告こそが「計画が生きているか」を判断する材料になります。

計画と実績の乖離が大きく抜本的な再生が必要になった場合は、協議会と協議のうえ、中小版GL枠や協議会の再生支援の利用を条件として伴走支援を終了できる規定もあります。行き詰まったら打ち切り、ではありません。

なお利用申請そのものにも有効期限があり、405事業は申請受理日から2年(特段の理由を協議会が認める場合は延長可)、早期は1年です。

出口にも期限があります。伴走支援費用の支払申請の有効期限は、伴走支援の対象期間の最終日、つまり計画策定後3年を経過した最初の決算日から6か月を経過した日です。それまでに支払申請書を出さないと利用申請そのものが失効します。加えて協議会への伴走支援の報告は、決算日などの基準日から極力4か月以内に行うこととされています。3年間の伴走支援をやり切っても、最後の申請を忘れれば費用は戻りません。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き

一度使った会社は、原則として二度目が使えません

もうひとつ、事前に必ず確認すべき条件があります。マニュアル・FAQは、複数回利用の取扱いについて「原則として複数回利用することはできません」と定めています。数年前に405事業で計画を作り、その後また資金繰りが厳しくなった会社が、同じように使えるとは限らないということです。

確かめる範囲は405事業だけではありません。対象となる事業者の要件のほうには、もっと広い除外が置かれています。協議会の収益力改善支援(金融支援を伴うもの)・再生支援・再チャレンジ支援・経営改善計画策定支援事業のいずれかを利用した者は対象になりません。しかもこちらには「原則として」が付かず、実施中の場合も含みます。過去に協議会と何らかの関わりがあった会社は、制度の名前を思い出せなくても、当時の書類を持って窓口へ行くのが早いということです。

例外は中小版GL枠に置かれています。過去に利用した際とは異なる要因で業況が悪化している場合など協議会が支援を適当と認めるとき、あるいは抜本的な再生(DDS、DES、債権放棄)や廃業のために計画策定が必要なときは、過去の利用者でも対象になり得ます。ただし個別の当てはめは協議会の判断です。過去に利用したことがある会社は、専門家に見積を依頼する前に、協議会へ事前相談してください。

もうひとつ、過去に利用している場合は費用負担の実績が引き継がれます。たとえば過去に通常枠を使い、その後に中小版GL枠を活用する場合、前回協議会が負担した額と今回の支払額を合計して上限を判定します。手引きでは、この引き継ぎ規定は中小版GL枠の項にだけ置かれています。

ただしマニュアル・FAQには別の定めもあります。早期経営改善計画策定支援を使った事業者について、原則としてその費用負担実績は引き継がないものの、早期の伴走支援の実施期間中に通常枠を改めて利用する場合は、費用負担の上限額を早期の利用分と合計して300万円とする、というものです(伴走支援の終了に伴うものを除く)。過去の利用歴がある会社は、どの枠をいつ使ったかによって扱いが変わります。

実際に3年前の利用歴が面談の場で判明し、見積を頼む前に協議会へ確認するところから動いた会社の例を、405事業の流れ|リスケ継続の計画を求められた会社が動いた順番でまとめています。制度の条件が、実務でどの順番に効いてくるかが見えます。

なお、過去に405事業を使った会社は、早期経営改善計画策定支援も使えません。早期の手引きには書かれていませんが、早期のマニュアル・FAQが「経営改善計画策定支援事業及び早期経営改善計画策定支援事業を利用した者(実施中の場合も含む)は対象になりません」と定めています。手引きに無いからといって、決まりが無いわけではありません。

参考(中小企業庁):経営改善計画策定支援事業(通常枠)マニュアル・FAQ(Ver.9.1)経営改善計画策定支援事業(経営改善計画策定支援)に関する手引き〈中小版GL枠〉経営改善計画策定支援 マニュアル・FAQ(Ver.2.3)早期経営改善計画策定支援(バリューアップ支援事業)マニュアル・FAQ(Ver.8.1)

活用事例|自社ならどの入口から入るか

自社がどの入口に当てはまるのかを、状況別に整理します。以下はすべて、制度の考え方を示すための想定例です。実在の支援事例ではありません。

ケース1|返済条件はまだ変えていないが、資金繰りの先が見えない

返済は約定どおり続けられているものの、資金繰り表がなく、いくら足りなくなるのかを誰も答えられない状態です。この段階なら早期経営改善計画策定支援が対象になります。金融支援は必須ではなく、資金繰り管理や採算管理といった基本的な内容から手をつける制度です。

ケース2|すでにリスケ中で、継続の条件に計画を求められている

元金の支払猶予を受けていて、金融機関から計画の提出を求められている状態です。条件変更を伴うため405事業の対象になり得ますが、数値基準(債務超過の5年以内の解消、経常赤字の概ね3年以内の黒字化、有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下)を満たす計画が組めるかどうかを先に確かめる必要があります。

ケース3|条件変更と一緒に、新しい借入も検討している

借換えや新規融資は金融支援に含まれません。条件変更を受けた債務が、借換え・新規融資を含む全債務の50%以上になるかどうかが分かれ目です。融資を主役にした計画は、この要件を割り込みやすくなります。

ケース4|数年前に405事業で計画を作ったことがある

原則として複数回の利用はできません。まずは協議会の窓口へ相談し、前回とは異なる要因で業況が悪化しているのかどうかを含めて、利用の可否を確認するところから始めます。専門家への依頼はそのあとです。

共通して言えるのは、判断の軸が「返済条件を変えるかどうか」の一点ではないということです。数値基準・金融支援の範囲・過去の利用歴という3つの関門を先に確かめてから、どの入口に並ぶかを決めてください。

なお、どの入口を選んでも、返済条件の変更そのものをどう交渉するか、返済の原資をどこから作るかという論点は残ります。これは制度の枠組みとは別の実務ですので、中小企業の資金繰り改善で交渉の進め方と原資の作り方をまとめています。あわせて読んでいただくと、計画づくりと交渉が一本の線でつながります。

まとめ

  • 協議会の支援は5つある。405事業から入るとは限らない
  • 協議会自身が行う収益力改善支援は原則無料で、幅広い中小企業が対象
  • 課題の整理から始めたいなら、専門家費用の3分の1を自社で負担する405事業に、いきなり進む必要はない
  • 405事業には3つの関門がある。①2026年5月1日に新設された数値基準(満たさない計画は対象外)、②金融支援が条件変更等に限られ借換え・新規融資を含まないこと(50%要件)、③原則として複数回は利用できないこと
  • この3つを、見積を取る前に確かめる
  • 費用の上限は2段構え。「上限300万円」は中堅規模の話で、売上1億円未満かつ有利子負債1億円未満の会社は、協議会の費用負担が合計100万円以下となるのが原則
  • 上限額まで申請する制度でもない
  • 計画は作って終わりではなく、そこから3年続く。伴走支援は最初の決算時から3年間、決算期と中間決算期に年最低2回の報告が必須
  • この定期報告こそが、金融機関に対して計画が生きていることを示す材料になる

最後に

リスケを続けたい会社にとって、いちばん怖いのは「計画を出せと言われたが、何から手をつければいいか分からないまま時間が過ぎること」です。制度の入口を選び違えれば、費用も手続きもやり直しになります。数値基準や50%要件のように、計画を作り込んだあとで気づいたのでは遅い条件もあります。

私たちTalent Partner(社長の経営参謀®)は、認定経営革新等支援機関として、計画づくりの前段——どの入口を使えるのか、過去の利用歴が引っかからないか、金融機関の同意をどの範囲で取るのか——から一緒に整理します。資料を渡して終わりにせず、協議会や金融機関との面談の場にも同席します。資金繰りの立て直しと金融機関対応の支援は、こうした場面での伴走を想定した内容です。

制度の当てはめは会社ごとの事情に左右されますので、最終的な判断は協議会や所轄の窓口、専門家への確認が必要です。同じように「計画を出してほしい」と言われて手が止まっている方は、まず現状を整理するところから、一度ご相談ください。

「自社の場合はどうなるか」を、御社の状況に当てはめて一緒に整理します。

ご相談は無料です。その場で売り込みはいたしません。

この記事を書いた人

金井 春樹株式会社TRAVEL LIKE Talent Partner事業部 取締役COO / TAM

前職の上場コンサルティングファームにて10年間、年間200社超(累計1,000社超)の中小企業に対するバックオフィス支援・経営改善に従事。

現在は「Talent Partner」の取締役COOとして、認定ターンアラウンドマネージャー(TAM)の知見を活かし、財務・労務・組織の多角的な視点から中小企業のV字回復と成長をハンズオンで牽引する「社長の右腕」として活動している。

【運営会社 取得認証・認定】
ISO27001 / 健康経営優良法人2026 / DX認定 / 経営革新計画(※兵庫県のコンサルティングサービスで唯一) / 事業継続力強化計画

経営の悩みを、
一人で抱え込まないでください。

相談内容がまとまっていなくても問題ありません。社長が手放したい仕事の整理から、進め方を一緒に検討します。兵庫の中小企業の未来を、ともに創ります。