Blog ブログ
求人媒体の選び方|ハローワーク・求人サイト・人材紹介の使い分け
目次
「求人サイトに出しても、効果が分からないまま更新している」——求人媒体の選び方が定まっていないのかもしれません
営業電話で勧められるまま求人サイトに出稿し、いつのまにか契約を更新し続けている。応募がゼロだった月も、なんとなく「出しておかないと不安だから」と継続する。一方で、無料のハローワークは出しているものの、こちらもほとんど応募が来ない——。こうした状態に心当たりはありませんか。
求人媒体は種類ごとに性格がまったく違います。無料のもの、掲載しただけで費用がかかるもの、採用が決まって初めて費用がかかるもの。自社が採用したい人と、その媒体を見ている人が噛み合っていなければ、いくら費用をかけても応募は増えません。
結論から言えば、求人媒体の選び方の基本は「1つに絞らず、自社の採用要件に合わせて2〜3を組み合わせる」ことです。そのうえで、応募数と採用単価(1人採用するのにかかった費用)を見ながら、効くものに寄せていく。この記事では、主なチャネルの得意・不得意と費用の出方を整理し、自社に合う使い分けの考え方をお伝えします。
💡 この記事でわかること:
- ●ハローワーク・求人サイト・人材紹介など主要チャネルの得意・不得意
- ●掲載課金・クリック課金・成功報酬の違いと、人材紹介の1件あたり約103万円という実数
- ●1つに絞らず組み合わせて選ぶ、求人媒体の選び方の基本
- ●助成金の対象になる紹介会社の条件と、求人企業に課された「的確な表示」の義務
そもそも求人媒体とは
求人媒体とは、自社の求人情報を求職者に届けるための「経路(チャネル)」の総称です。ハローワーク、求人検索エンジンや求人サイト、人材紹介会社、自社の採用ページ、社員からの紹介(リファラル)などが含まれます。
ここで押さえておきたいのは、求人媒体は「広告の出し先」であると同時に「集まる人の層」が決まる場だということです。若手が多く見る媒体、地域の求職者が集まる窓口、専門職に強い紹介会社——媒体ごとに、そこにいる人がまるで違います。
つまり求人媒体の選び方とは、「どこに出すと安いか」だけの話ではありません。「自社が会いたい人は、どこで仕事を探しているか」を起点に、費用の出方と手間のかかり方を照らし合わせて決めるものです。ここを取り違えると、費用をかけても採用したい層に届かないという事態が起こります。
主要チャネルの得意・不得意を知る
求人媒体は大きく5つのタイプに分かれ、それぞれ「費用」「集まる人」「手間」の性格が異なります。まずは全体像を押さえ、自社の状況と照らし合わせてください。
ハローワークは無料で使え、地域密着の求職者が集まります。採用に関する一部の助成金は「ハローワーク等の紹介」を要件にしています。ただしこれは「ハローワーク限定」という意味ではありません(後の章で範囲を整理します)。無料で出せるので、まず押さえておく価値はあります。ただし掲載の見せ方に工夫が要り、待っているだけでは応募が来にくいのが実情です。
求人検索エンジンや求人サイトは、掲載しただけで費用がかかる「掲載課金」と、クリックや応募に応じて費用がかかる「成果課金」に分かれます。母集団(応募者の集まり)を広げやすい反面、原稿の質で結果が大きく変わります。人材紹介は採用が決まって初めて費用がかかる「成功報酬」型です。厚生労働省の集計では1件あたり約103万円で、探す手間を代行してもらえる分、単価は高くなります。自社の採用ページやリファラルは、うまく回れば低コストで質の高い採用につながりますが、仕組みづくりに時間がかかります。
チャネルごとの性格を、費用の出方と得意分野で並べるとこうなります。
| チャネル | 費用の出方 | 得意なこと | 不得意なこと |
|---|---|---|---|
| ハローワーク | 無料 | 地域の求職者に届く。助成金の要件に絡むこともある | 掲載しただけでは埋もれる。原稿の作り込みが要る |
| 求人サイト(掲載型) | 前払い(掲載期間で課金) | 短期間でまとまった応募を集める | 採れなくても費用が出ていく |
| 求人検索エンジン | 成果課金(クリック等) | 予算を小さく始めて調整できる | 運用の手間がかかる。放置すると効かない |
| 人材紹介 | 成功報酬(採用時) | 条件に合う人にピンポイントで会える | 1人あたり約103万円(令和6年度の平均) |
| 社員紹介(リファラル) | 少額(お礼の設計次第) | 定着しやすい。人柄の情報が事前に得られる | 数が読めない。断り方への配慮が要る |
| 自社の採用ページ | 制作・維持の手間 | 他のどの媒体から来た人も最後にここを見る | 育つまで時間がかかる |
最後の行が要点です。どの媒体を使っても、応募を迷っている人は最後に自社のページを見ます。媒体を増やす前に、ここが整っているかを確認してください。
人材紹介はいくらかかるのか|1件あたり約103万円
「単価が高い」とだけ言われても、判断はできません。厚生労働省が令和8年3月に公表した令和6年度の職業紹介事業報告書の集計結果に、実数が出ています。
| 項目 | 令和6年度 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 常用就職1件あたりの手数料 | 約103万円 | 10.9%増 |
| 手数料収入の合計 | 約9,835億円 | 17.6%増 |
| 常用就職の件数 | 約92万件 | 4.8%増 |
ここでいう「常用」は、4か月以上の期間を定めて雇用されるもの、または期間の定めなく雇用されるものを指します。パート・アルバイトの短期採用ではなく、正社員クラスの採用の平均だと考えてください。
外れたときに費用が残らないのが成功報酬の強みで、単価の高さはその対価です。掲載型は応募がゼロでも掲載料が出ていきます。どちらが得かではなく、外したときにどちらの痛手なら自社が耐えられるかで選ぶことになります。
紹介会社は「実績のある会社」かどうかを確かめる
同じ集計に、もう1つ見ておきたい数字があります。事業報告を提出した有料職業紹介事業所は30,561ありますが、そのうち就職実績のあった事業所は13,946でした。半分以上は、その年度に1件も決めていません。
職業紹介事業者の一覧と事業実績は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で公開されています。営業提案を受けたら、契約前にここで社名を引いてください。許可を持っているかどうかも、ここで分かります。
参考(厚生労働省):職業紹介事業の事業報告の集計結果 / 人材サービス総合サイト
進め方|4ステップ
求人媒体の選び方は、「どの媒体が良いか」から入ると迷子になります。先に自社の採用要件を言葉にし、費用の出方を理解したうえで、組み合わせて試し、数字で振り返る——この順番で進めるのが確実です。
STEP1:採用したい人物像と条件を言葉にする
まず「どんな人を、いつまでに、何人」採用したいかを紙に書き出します。職種・経験・勤務地・雇用形態を具体的にするほど、合う媒体が絞れます。たとえば地域の未経験者を長く育てたいのか、即戦力の専門職を急いで採りたいのかで、向くチャネルはまったく変わります。ここが曖昧なまま媒体を選ぶと、営業提案に流されてしまいます。人物像の整理から始める進め方は、中小企業の採用|何から始める?計画・募集・選考・受け入れの4段階でも詳しく解説しています。
STEP2:チャネルごとの費用の出方を把握する
費用の出方は主に「掲載課金(出した時点でかかる)」「クリック課金(見られた分だけかかる)」「成功報酬(採用が決まってかかる)」の3タイプです。掲載課金は応募ゼロでも費用が発生し、成功報酬は単価が高くなりがちです。金額の大小だけでなく、「採用できなかったときにどれだけ費用が残るか」というリスクの出方で比べるのが大切です。
STEP3:2〜3の媒体を組み合わせて試す
最初から1つに絞らず、性格の違う媒体を2〜3組み合わせます。たとえば「無料のハローワーク+成果課金の求人検索エンジン」のように、コストを抑える窓口と母集団を広げる窓口を並行させる。一度にすべてを大きく出すのではなく、小さく試して反応を見る姿勢が、無駄な出稿を防ぎます。
STEP4:応募数と採用単価で効果を振り返る
出しっぱなしにせず、媒体ごとに「応募数」「面接まで進んだ数」「採用単価(かかった費用÷採用人数)」を記録します。数字で見ると、なんとなく続けていた媒体が実は効いていなかった、という気づきが必ず出てきます。効くものに寄せ、効かないものは思い切ってやめる。この振り返りを月に一度回すだけで、採用の費用対効果は大きく変わります。
助成金を狙うなら、媒体選びの段階で決まる
前に触れた「助成金の要件」を、正確に整理します。特定求職者雇用開発助成金の支給要件の1つ目は、厚生労働省のページにこう書かれています。「ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること」。
つまりハローワーク限定ではありません。ただし、民間ならどこでもよいわけでもありません。「ハローワーク等」に含まれるのは次の3つです。
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| ① 公共職業安定所 | ハローワーク |
| ② 地方運輸局 | 船員として雇い入れる場合 |
| ③ 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等 | 特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者などのうち、本助成金に係る取扱いを行うに当たって厚生労働省職業安定局長の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出している事業者 |
読み飛ばしやすいのが③の後半です。許可を持っているだけでは足りず、その助成金の取扱いについて労働局長へ届出をしている事業者でなければなりません。
これが「媒体選びの段階で決まる」という意味です。採用してから助成金を調べても間に合わず、紹介会社と契約する前に「この助成金の取扱いをしているか」を確認しておく必要があります。ハローワークなら当然に①に当たるので、この確認は要りません。
助成金そのものの対象者や金額は、特定求職者雇用開発助成金とは?|就職困難者の採用で賃金助成で整理しています。
参考(厚生労働省):特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)
「出しっぱなし」は、いま義務違反になり得る
冒頭で触れた「なんとなく契約を更新し続けている」状態には、費用のほかにもう1つ問題があります。2022年10月1日に施行された改正職業安定法で、求人企業にも「求人等に関する情報の的確な表示」が義務づけられたからです。
対象は人材紹介会社や求人メディアだけではありません。厚生労働省のリーフレットは、求人企業の義務として次のように定めています。
| 求人企業がやること | 内容 |
|---|---|
| 虚偽・誤解を生じさせる表示をしない | 表示の内容そのものについての義務 |
| 募集の終了・内容変更を反映する | 募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更する |
| 媒体に反映を依頼する | 求人メディア等を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう依頼する |
| 情報の時点を明らかにする | いつの時点の求人情報かを明らかにする |
| 訂正依頼に応じる | 求人メディア等から訂正・変更を依頼されたら、速やかに対応する |
「採用が決まったのに掲載を止めていない」「条件が変わったのに古い原稿のまま」は、この義務に触れます。媒体を複数使っているほど、止め忘れは起きやすくなります。
STEP4の振り返りは、費用対効果のためだけの作業ではありません。媒体ごとの掲載状況を一覧にしておくこと自体が、この義務を果たす仕組みになります。応募元を記録する表に「掲載開始日」「終了予定日」の欄を足しておけば、費用の振り返りと義務の履行を1つの表で回せます。
参考(厚生労働省):2022年職業安定法の改正について
活用事例|採用戦略の進め方(ケース別)
同じ「求人媒体の選び方」でも、業種や採用したい層によって最適な組み合わせは変わります。ここでは一般化した2つの想定で、考え方の違いを見てみます。
急いで多数を採るというより、腰を据えて定着する人を採りたいケースです。無料で地域密着のハローワークを基盤にしつつ、地元の求職者が見る求人検索エンジンを成果課金で併用する組み合わせが考えられます。あわせて、働く様子が伝わる自社の採用ページを少しずつ育てておくと、応募者が「どんな会社か」を確認でき、ミスマッチが減ります。
母集団の広さより、条件に合う人にピンポイントで会えるかが勝負です。人材紹介を軸に据え、採用が決まって初めて費用がかかる形でリスクを抑えつつ、社員からの紹介(リファラル)も並行して声をかけておく。信頼できる社員のつては、経歴書だけでは分からない人柄の情報も得やすいのが強みです。
「常時出しているのに効果が分からない」状態になりやすいタイプです。ここで効くのは媒体を増やすことではなく、応募が来た媒体を記録することです。3か月分の応募元を数えるだけで、効いていない媒体が見えます。掲載を止めた分の予算を、効いている媒体か、自社の採用ページに寄せてください。
先に費用がかかる掲載型は、外れたときの痛手が大きい規模です。費用が後払いになる形(成果課金・成功報酬)と、無料のハローワークを軸に組みます。そのうえで、お金でなく時間で稼げる手段——社員紹介と、自社の採用ページの整備——に社長の時間を回すのが現実的です。
まとめ
求人媒体の選び方について、①媒体はタイプごとに費用・集まる人・手間の性格がまったく違い、無料か有料かだけでは選べないこと、②「掲載課金・クリック課金・成功報酬」という費用の出方を、金額よりも「採用できなかったときのリスク」で比べること、③1つに絞らず、自社の採用要件に合わせて2〜3を組み合わせ、応募数と採用単価で振り返って効くものに寄せていくこと——この3点をお伝えしました。大切なのは、媒体選びの前に「自社が会いたい人はどこで探しているか」をはっきりさせることです。ここが定まれば、営業提案に流されることはなくなります。
最後に
とはいえ、日々の業務に追われるなかで採用要件を言葉にし、複数の媒体を試しながら数字で振り返り続けるのは、専任の人事担当がいない会社にとって決して簡単ではありません。営業電話で勧められるまま契約を更新してしまうのも、判断の拠り所となる「自社なりの基準」を持つ余裕がないからこそ、起こることだと思います。
社員紹介(リファラル)を仕組みとして根づかせたい場合は、中小企業のリファラル採用|社員紹介を仕組み化するもあわせてご覧ください。低コストで定着しやすい採用を、続く形にする方法を整理しています。
私たちTalent Partner(社長の経営参謀®)は、こうした採用の悩みに対して、提案書を置いて帰るのではなく、隣に座って一緒に手を動かす「右腕」として伴走します。採用したい人物像の整理から、媒体ごとの費用の出方の比較、実際の求人原稿づくり、応募が来たあとの選考設計まで、社長に代わって回す体制をつくります。採用は人事だけの問題ではなく、定着のための労務環境や評価の仕組みとも地続きです。だからこそ、人・組織・お金を横断して見る立場から、目の前の一件の採用だけでなく、その先に人が定着し育つところまでを一緒に考えます。
「今出している媒体は自社に合っているのか」「どう組み合わせれば無駄が減るのか」——そんな入り口の疑問だけでも構いません。まずは一度、現状を棚卸しするところから始めてみませんか。採用に関する無料相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
前職の上場コンサルティングファームにて10年間、年間200社超(累計1,000社超)の中小企業に対するバックオフィス支援・経営改善に従事。
現在は「Talent Partner」の取締役COOとして、認定ターンアラウンドマネージャー(TAM)の知見を活かし、財務・労務・組織の多角的な視点から中小企業のV字回復と成長をハンズオンで牽引する「社長の右腕」として活動している。
CONTACT お問い合わせ
日々全力で事業に取り組む経営者の想いに寄り添い、目標に向かって伴走させていただきます。
まずはお気軽にご連絡ください。


