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補助金の採択率はどれくらい?|ものづくり補助金の推移と加点
目次
補助金の採択率は、いま3割台という現実
「良い計画書さえ書ければ通るはずだ」——補助金の申請を考えるとき、多くの経営者がまずそう考えます。しかし数字を見ると、前提が変わっていることがわかります。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択率は、かつて6割を超えていた時期がありました。第9次締切では3,552社が申請して2,223社が採択され、採択率62.6%です。同じ制度が、直近の第22次では1,552社中582社で37.5%。申請した3社に2社が落ちるのが今の水準です。
直近だけを取れば、第19次31.8%から第22次37.5%へと持ち直しています。ただしそれは底を打っただけで、6割前後が通っていた時期と比べれば、依然として低い水準にあります。
では、この3割台をくぐり抜けている会社は何が違うのか。答えは計画書の文章力ではなく、申請書を書き始める前に何を整えていたかにあります。
💡 この記事でわかること:
- ●ものづくり補助金の採択率が、実際にどう推移してきたか(公式データ)
- ●「良い計画書を書いたのに落ちた」の裏で効いている加点の仕組み
- ●加点項目は補助金ごとに違う——ものづくり補助金では加点だった認証が、後継の補助金では対象外になった実例
- ●申請書より先に着手すべき内部準備の順番
ものづくり補助金の採択率は、どう動いてきたか
事務局が公表している申請者数と採択者数から、採択率を並べるとこうなります。数字はすべて公式の採択結果ページに掲載されているものです。
| 締切回 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第9次(最高) | 3,552 | 2,223 | 62.6% |
| 第13次 | 3,261 | 1,903 | 58.4% |
| 第16次 | 5,608 | 2,738 | 48.8% |
| 第18次 | 5,777 | 2,070 | 35.8% |
| 第19次 | 5,336 | 1,698 | 31.8% |
| 第20次 | 2,453 | 825 | 33.6% |
| 第21次 | 1,872 | 638 | 34.1% |
| 第22次 | 1,552 | 582 | 37.5% |
大きな転換点は第18次です。第16次まで5割前後を保っていた採択率が、ここで一気に3割台へ落ちています。申請者数はほぼ同じ(5,608社→5,777社)なのに採択者数が2,738社から2,070社へ減りました。応募が増えたから通りにくくなったのではなく、通す数そのものが絞られたということです。
第19次以降は申請者数も減っています。これは「どうせ通らない」と申請を見送る会社が増えた結果とも読めます。母数が減っているのに採択率が3割台にとどまっているという点に、審査の厳しさが表れています。
参考(全国中小企業団体中央会):ものづくり補助金 採択結果 / 公募スケジュール
「良い計画書を書いたのに落ちた」の正体
補助金の申請書といえば、事業の革新性・具体性・収益性をいかに説得力を持って書くか——そういう文章力の勝負だと思われがちです。しかし採否を分けているのは、それだけではありません。
多くの補助金には、一定の要件を満たしていると審査で有利になる「加点項目」が設けられています。これは計画書の文章力とは別の、申請前に整えておける得点です。公募要領には、書面審査の項目と並んで加点項目・減点項目が明記されています。
第23次のものづくり補助金の公募要領を見ると、加点項目として経営革新計画、パートナーシップ構築宣言、再生事業者、DX認定、健康経営優良法人認定、技術情報管理認証、J-Startup、新規輸出1万者支援プログラム、事業継続力強化計画などが並んでいます。
💡 ポイント:
加点項目には取得までに数週間から数か月かかるものが多く含まれます。公募が始まってから慌てて動いても、証明書の発行が締切に間に合いません。だからこそ、申請書を書く前に加点の整備から着手するのが順番として正しいのです。
ここで見落とされがちなのが、加点の要件は「取り組んでいること」ではなく「認定されていること」だという点です。たとえば健康経営の加点は、第23次の公募要領では「健康経営優良法人2025に認定された事業者」と年次まで指定されています。健康経営に前向きに取り組んでいるだけでは加点されません。認定を取り、その年次が公募要領の指定と合っている必要があります。
取得までにかかる期間の順に加点項目を整理したものは、補助金の加点項目とは?2026年に取れる項目を一覧で解説にまとめていますので、あわせてご覧ください。
参考(全国中小企業団体中央会):ものづくり補助金 公募要領
加点は補助金ごとに違う——認証を取る前に確かめること
加点項目でもうひとつ重要なのが、同じ加点が別の補助金でも通用するとは限らないことです。ここを取り違えると、時間と費用をかけた認証が空振りになります。
わかりやすい実例が技術情報管理認証(TICS)です。経済産業省が所管する産業競争力強化法に基づく認証制度で、企業の情報セキュリティ対策を、国の認定を受けた認証機関が国の基準に基づいて審査・認証します。電子データにとどまらず、金型・試作品・製造装置・製造プロセス情報・設計図・CAD・業務マニュアルなど、ものづくりの現場で扱う技術情報のほぼ全体が管理対象になる点が、一般的な情報セキュリティ認証と大きく異なります。
この認証は、ものづくり補助金の第23次公募要領では加点項目No.6として明記されていました。ところが、その後継として2026年6月に新設された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の公募要領を見ると、加点14項目のなかに技術情報管理認証は入っていません。
認証そのものに価値がないという話ではありません。技術情報管理認証を取れば、自社の製造ノウハウを守る仕組みが整いますし、日本政策金融公庫の融資で有利な利率が適用される場面もあります。問題は、「補助金の加点のために取る」という動機で動くと、その加点が次の補助金では消えていることがある、という点です。
💡 ポイント:
加点を目的に認証を取るなら、申請しようとしている補助金の、その回の公募要領で名前を確認してから動く。これが唯一の確実な方法です。前回の公募要領や、他の補助金の情報を流用しないでください。
参考(経済産業省):技術情報管理認証制度
申請書より先に整える——内部準備の3ステップ
部品加工業を営むK社様(従業員15名)は、600万円から700万円規模の3D CADや自動化設備の導入を検討していました。専務が最初に望んでいたのは「次の公募に向けた申請書の作成」です。しかし、いきなり文章を書き始める前に、足場を固める準備を先行させることにしました。
3番目の「体制を実際に変える」が、多くの経営者に見落とされている部分です。加点項目として評価される認証や計画の多くは、外部の専門家に書類を依頼すれば取れるものではありません。自社の情報管理や働き方の実態が、一定の基準を満たしているかどうかが問われます。書類の体裁を整えるのではなく、現場の実態から変えていく作業になります。
K社様のケースでは、有給や育休が「制度としては存在するが、実際には取りにくい」という状況が残っていました。これを改善することは、社員の定着という人材面の効果と、補助金審査での加点という財務面の効果を同時に生みます。補助金の採択率を上げるための準備が、そのまま社内の情報管理体制や労働環境の改善と直結している——遠回りに見えますが、これが現在の補助金審査の構造です。
専務は「次の公募に合わせて申請書を仕上げたい」と考えていました。しかし加点がゼロの状態では、どれだけ計画書を練っても土俵に上がりきれません。まず狙う補助金の公募要領を取り寄せ、加点項目の一覧を原文で確認するところから着手しました。申請書の執筆は、取れる加点を仕分けたあとの工程です。
半年前に取り寄せた公募要領をもとに認証の取得を進めていたところ、実際の申請時には対象の補助金が変わっており、その認証が加点に含まれていませんでした。加点項目は補助金ごと・公募回次ごとに変わります。準備を始める前に、必ず最新の回の公募要領で名前を確認してください。
就業規則の見直しや有給取得率の改善は、単独では「いつかやること」として後回しになりがちです。補助金の申請スケジュールと紐づけると、「今期中にやること」に変わります。労務の整備を財務戦略の一部として位置づけることで、組織と資金の両面に効きます。
ものづくり補助金は、これからどうなるのか
準備の話をしたところで、前提を確認しておく必要があります。ものづくり補助金は第23次締切(2026年5月8日)をもって公募を終えており、その後の公募回は予定されていません。第23次の採択発表は2026年8月上旬とされています。
後継にあたるのが、2026年6月に新設された「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。ただし公式サイトは「『中小企業新事業進出補助金』と『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』とは異なる補助金です」と明記しており、制度が引き継がれたわけではありません。枠組みも加点項目も別物として設計されています。
したがって、これから設備投資に補助金を使いたい会社が向かう先は、次のいずれかになります。
| 補助金 | 向いている投資 |
|---|---|
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 革新的な新製品・新サービスの開発、新事業への進出、海外展開 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 人手不足の解消に向けた、現場に合わせたオーダーメイド設備の導入 |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | カタログに登録された汎用製品の導入。随時公募で手続きが簡易 |
新設された補助金の3つの申請枠や達成要件、口頭審査までの全体像は、ものづくり補助金は2026年どうなった?新補助金の全体像を解説で整理しています。省力化の投資を考えている場合は、省力化補助金の一般型とカタログ型の違い|どちらで申請すべきかも参考になります。
参考(中小企業基盤整備機構):新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
まとめ
最後に要点を3つに整理します。①ものづくり補助金の採択率は、かつての6割前後から直近は3割台へ下がっています。第22次で37.5%とやや持ち直したものの、依然として低い水準です。②採否を分けているのは計画書の文章力だけではなく、申請前に整えておける加点です。加点の要件は「取り組んでいること」ではなく「認定されていること」で、年次まで指定されることもあります。③加点項目は補助金ごと・公募回次ごとに変わります。技術情報管理認証のように、ものづくり補助金では加点でも後継の補助金では対象外になる例があるため、必ずその回の公募要領で名前を確認してから動いてください。
補助金の要件・加点項目・スケジュールは公募回ごとに変わります。申請前には必ず最新の公募要領をご確認いただくか、認定経営革新等支援機関にご相談ください。
最後に
ここまで読んで、「加点を整えるのが先だとはわかった。でも、うちが取れる加点がどれなのか、どこから手をつければいいのかがわからない」と感じた方もいるかもしれません。それは自然なことです。加点項目は補助金ごとに違い、取得にかかる期間も費用も制度ごとにばらばらで、しかも公募回次ごとに入れ替わります。日々現場を回しながら、この全体を追い続けるのは現実的ではありません。
私たちTalent Partner(社長の経営参謀®)は、こうした場面で「隣に座る右腕」として動きます。きれいな提案書を置いて帰るのではなく、狙う補助金の見極めから、取れる加点の仕分け、認証取得に向けた社内体制の整備、そして事業計画書への落とし込みまで、実際に手を動かすところまで一緒に伴走します。補助金は資金の話に見えて、その裏では「情報管理の体制をどう作るか」という組織の設計や、「有給取得率をどう上げるか」という労務の実務まで絡み合っています。人・お金・組織を横断して見られることが、私たちの立ち位置です。
とはいえ、いきなり何かを任せる必要はありません。まずは「うちが今から間に合う加点はどれか」を一緒に整理するだけでも、次の一手は見えやすくなります。公募が始まってから慌てるより、その前に順番を確かめておくことをおすすめします。
補助金の採択率を上げたい、どの加点から取るべきか相談したい——そんなときは、無料相談をご利用ください。自社の現状に合わせて、まず整えるべき一段階を一緒に見つけるところからお手伝いします。
この記事を書いた人
前職の上場コンサルティングファームにて10年間、年間200社超(累計1,000社超)の中小企業に対するバックオフィス支援・経営改善に従事。
現在は「Talent Partner」の取締役COOとして、認定ターンアラウンドマネージャー(TAM)の知見を活かし、財務・労務・組織の多角的な視点から中小企業のV字回復と成長をハンズオンで牽引する「社長の右腕」として活動している。
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