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特定求職者雇用開発助成金とは?|就職困難者の採用で賃金助成

補助金・助成金

「就職に苦労している人」を継続雇用すると、賃金の一部が助成される

世の中には、能力や意欲があっても、年齢・障害・家庭の事情などから、就職に苦労している人がいます。そうした就職が特に難しい求職者を、ハローワーク等の紹介で継続的に雇い入れた会社を支えるのが特定求職者雇用開発助成金です。

この助成金は、対象者を継続雇用し、その賃金の一部が一定期間にわたって助成されます。人手不足のなか、これまで採用の視野に入れていなかった層に目を向けることは、戦力の確保と、社会的意義の両方につながります。

この記事では、特定求職者雇用開発助成金とは何か、対象者と要件、そして活用の進め方を、厚生労働省の情報をもとに整理します。押さえるべきは次の4点です。

💡 この記事でわかること:

  • 特定求職者雇用開発助成金は、就職が特に困難な求職者を継続雇用する会社への助成金
  • 対象は高年齢者・障害者・ひとり親家庭の親など(特定就職困難者コース ほか)
  • 継続雇用した対象者の賃金の一部が、一定期間にわたって助成される
  • 最重要:ハローワーク等の“紹介”で、雇用保険の一般被保険者として継続雇用すること

そもそも特定求職者雇用開発助成金とは

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者、母子家庭の母・父子家庭の父など、就職が特に困難な求職者を、ハローワークや職業紹介事業者の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れた事業主に支給される助成金です。代表的なのが「特定就職困難者コース」です。

トライアル雇用助成金が「原則3か月のお試し」であるのに対し、こちらは最初から継続雇用が前提で、賃金の一部が一定期間助成されるのが特徴です。両者は、就職に困難を抱える人の採用を後押しするという点で共通しています。

主な対象者(特定就職困難者コース)
高年齢者 60歳以上の求職者
障害者 身体・知的・精神障害のある求職者
母子家庭の母・父子家庭の父等 ひとり親家庭で就職を目指す求職者

💡 視野を広げると戦力が見つかる

年齢や事情だけで候補から外していると、意欲と能力のある人材を見逃します。就職に苦労している層に目を向けることは、人手不足時代の採用の間口を広げ、同時に社会的な意義も持ちます。

対象と「順番」

最重要の要件は、トライアル雇用助成金と同じく、ハローワーク等の“紹介”で雇い入れることです。自社への直接応募や、紹介を経ない採用は対象になりません。「まずハローワーク等に求人を出し、その紹介で、対象者を継続雇用として採用する」という順番が前提です。

また、対象者を雇用保険の一般被保険者として継続的に雇用すること、対象者の区分(高年齢者・障害者・ひとり親など)に当てはまることなどが要件になります。助成額や助成期間は、対象者の区分や企業規模によって異なります。

⚠️ 注意

対象者の区分・助成額・助成期間・要件は、年度ごとに見直されます。この記事は制度の全体像をつかむための参考であり、具体的な金額・要件・申請期間は、必ず厚生労働省の最新版と管轄のハローワークで確認してください。

お金は「後払い」で入ってくる

この助成金は、採用した瞬間にまとまったお金が振り込まれる仕組みではありません。会社がまず対象者を雇い入れ、通常どおり賃金を支払います。そのうえで、継続して雇用した実績を一定期間ごとに確認し、対象者の区分と企業規模に応じて定められた助成額を、期を区切って分割で受け取る——という「後払い」の流れです。ここで押さえておきたいのは、支払った賃金がそのまま戻る「実費精算」ではなく、区分ごとに決まった金額が支給される仕組みだという点です(金額や助成率は改定されることがあるため、申請前に労働局・ハローワークで最新の内容を確認してください)。手元の資金はいったん会社が用意する前提になる、と捉えておくと安全です。

「誰を雇うか」で位置づけが変わる

対象者の区分は、就職の難しさの背景ごとに分かれています。高年齢者は、体力面や採用市場の壁から職を得にくい層。障害者は、受け入れ体制や配慮の必要から採用が進みにくい層。ひとり親(母子家庭の母・父子家庭の父等)は、勤務時間の制約で働き口が限られがちな層です。国は「就職が特に困難」と位置づけたこれらの層の採用を、賃金助成という形で後押ししています。同じ制度でも、どの区分の人を迎えるかで、助成の重み(期間や割合の考え方)が変わります。会社の規模などの条件によって設定が変わることもあるため、詳しくは公式の案内で確かめておきましょう。具体的な区分・金額は年度で見直されるため、目安として捉えてください。

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活用の進め方|4ステップ

STEP1:どんな人材を、どんな仕事で迎えるかを整理する

まず、自社のどの仕事で、どんな人に活躍してもらえそうかを整理します。高年齢者の経験を活かせる仕事か、障害のある方が力を発揮できる業務か、時間に配慮が必要なひとり親を迎えられる体制か——受け入れる側の準備を考えます。「制度があるから採る」ではなく、「この仕事で活躍してもらう」という視点が、定着につながります。

STEP2:ハローワーク等に求人を出し、紹介を受けて採用する

ハローワーク等に求人を出し、その紹介で対象者を採用します。ここで直接応募ルートを使ってしまうと対象外になるため、必ず紹介を経る順番を守ります。採用にあたっては、雇用保険の一般被保険者として、継続的に雇用することが前提です。

STEP3:継続雇用し、働きやすい環境を整える

採用した対象者を継続雇用し、その人が力を発揮できる環境を整えます。高年齢者には無理のない役割を、障害のある方には合理的配慮を、ひとり親には勤務時間の柔軟性を——といったように、対象者に応じた配慮が、定着と戦力化の鍵になります。助成は、この環境づくりの期間を支えるものと捉えます。

STEP4:支給申請を行う

助成金は、対象者の賃金の一部が一定期間ごと(例:6か月ごと)に分けて支給されるのが一般的です。定められた申請期間内に、雇用の継続や賃金の支払いを示す書類を添えて、管轄の労働局(ハローワーク)へ申請します。申請期間には期限があるため、支給対象期間ごとに計画的に手続きします。

選ぶ前に、痛みの正体を知る

どの区分を迎えるにしても、共通の落とし穴は「後払い」です。助成が入るまで賃金は会社が立て替えるため、資金に余裕のない時期の採用には向きません。加えて継続雇用が前提のため、早期に辞められると支給に届かず、受け入れ体制の整備が実質の条件になります。そのうえで、区分ごとの向き・不向きは次の通りです。

どの区分が自社に向くか
高年齢者
経験を渡す仕事がある会社向き。無理な体力業務に就けると定着せず助成期間で終わりがち
障害者
業務を切り出せる会社向き。合理的配慮の準備がないと現場が疲弊し早期離職に
ひとり親
時間の柔軟性を用意できる会社向き。硬直的なシフトだと制度が活きない
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活用事例|特定求職者雇用開発助成金、どう使うか(ケース別)

ケース①:経験豊富なシニアを迎えたい会社

60歳以上の求職者を継続雇用するケース。長年の経験や段取り力を活かせる仕事で迎えれば、即戦力になります。助成で賃金負担の一部を軽くしながら、人手不足を補い、技術の継承にもつなげられます。

ケース②:障害のある方の雇用を進めたい会社

障害者雇用に取り組みたい会社。ハローワーク等の紹介で継続雇用し、業務内容や環境の合理的配慮を整えます。助成で受け入れ期間を支えつつ、多様な人材が活躍できる職場づくりを進めます。

ケース③:ひとり親の就労を支えたい会社

時間に配慮が必要なひとり親を戦力にしたい会社。勤務時間の柔軟性を用意し、継続雇用として迎えます。助成を活かしながら、意欲ある人材の就労を支え、定着してもらうことで、安定した戦力を得られます。

もう少し具体的に、現場のイメージで

たとえば、神戸で従業員15名ほどの金属加工の会社。ベテランが次々と定年を迎え、段取りの勘所が失われかけていました。そこでハローワークの紹介で62歳の元・同業経験者を継続雇用。若手への段取り指導役として迎え、助成で賃金負担の一部を抑えながら、途切れかけた技術の橋渡し役を確保できました。

障害のある方の例では、事務の定型作業(データ入力や書類整理)を一つの職務として切り出し、「何をやってもらうか」を固めてから紹介を受けた会社があります。業務が明確だったことで、受け入れる現場も戸惑わず、本人も力を発揮しやすくなりました。

ひとり親の例では、子どもの送り迎えに合わせた時短シフトを最初から設計。「フルタイムでないと戦力にならない」という思い込みを外したことで、意欲の高い人材が定着し、繁忙時間帯の穴を安定して埋められるようになりました。

【参照】
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」

まとめ

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者・障害者・ひとり親家庭の親など、就職が特に困難な求職者を継続雇用する会社への助成金です。継続雇用した対象者の賃金の一部が、一定期間にわたって助成されます。

最重要は、ハローワーク等の“紹介”で、雇用保険の一般被保険者として継続雇用すること。直接応募は対象外です。助成額・期間は対象者の区分や企業規模で異なり、年度で改定されるため、最新は厚生労働省・ハローワークで確認しましょう。

就職困難者の採用以外にも、場面ごとに使える助成金があります。違いと選び方は、中小企業が使える雇用関係助成金ガイド|補助金との違いと選び方でまとめています。

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人手不足のなか、これまで視野に入れていなかった層に目を向けることは、戦力の確保と社会的意義を両立させる一手です。制度を後押しに、採用の間口を広げられます。

間口を広げたあと、受け入れ側の設計が追いつかないと定着しません。計画・募集・選考・受け入れの4段階は、中小企業の採用でまとめています。

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最後に

特定求職者雇用開発助成金は、「採用の視野を広げたいが、受け入れに不安がある」という会社に、賃金助成という後押しを用意してくれる制度です。うまく使えば、意欲ある人材との出会いと、安定した戦力の確保につながります。

私たちは、受け入れ体制の整備から、ハローワーク求人の設計、継続雇用・定着の支援、支給申請までをハンズオンで支援します。「採用の間口を広げたいが、何から」という段階からで大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

金井 春樹(株式会社TRAVEL LIKE Talent Partner事業部 取締役COO / TAM)

前職の上場コンサルティングファームにて10年間、年間200社超(累計1,000社超)の中小企業に対するバックオフィス支援・経営改善に従事。

現在は「Talent Partner」の取締役COOとして、認定ターンアラウンドマネージャー(TAM)の知見を活かし、財務・労務・組織の多角的な視点から中小企業のV字回復と成長をハンズオンで牽引する「社長の右腕」として活動している。

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